理事長所信

2018年度スローガン

Evolution
〜次代へ紡ぐために〜


2018年度第47代理事長  松本 武


【はじめに】

水俣青年会議所が誕生して本年で47年目を迎えます。時代の流れとともに社会環境、個人の価値観や生活スタイルが大きく変化していく中で、長きにわたり水俣青年会議所は存続してきました。それは、多くの諸先輩方が明るい豊かな地域の実現に向けた運動を積み重ね、その熱き想いを次世代へと大切に紡いできたからに他なりません。
 私たちの生きるこの社会は近年、少子高齢化問題、東京一極集中問題や地方衰退など大きな問題が山積しております。私たちが住む地域でも、人口の減少に歯止めをかけることができず、街の活気も年々薄れていき、今やその存続すら危ぶまれる状況にあります。最大70名以上あった水俣青年会議所の会員数も年々減少を続け、本年は12名のスタートとなります。
 また、一昨年に発災した熊本地震や、昨年の福岡県を中心とした九州北部豪雨など、昨今は甚大な被害をもたらす自然災害が毎年のように起こっております。そこで水俣青年会議所は昨年、水俣市社会福祉協議会と『災害発生時における被災地支援等に関する協力協定』を締結しました。今後とも災害発生時に迅かつ効率的な支援を行えるよう更なる協力体制を築いていく必要があります。
 これまで諸先輩方が紡いでこられたLOMの歴史と地域の明るい未来への想いを、我々が次世代へと紡いでいくためには、時代の流れとともに変化していく社会に対して、市民一人ひとりが、その変化に順応し進化していかなければいけないと考えます。また、我々が進化していかなければ、我々の住む地域の未来を次世代へと紡いでいくこともできないと考えます。そして、取り組まなければならない課題や乗り越えていかなければいけない問題を他人事とせず、その責任を転嫁せず、自分事と捉え、一人ひとりが覚悟と使命感を強く抱き行動することで変化、すなわち進化していくと考え、本年の活動へ取り組んでまいります。

地域の未来を考える

日本創生会議より「消滅可能性都市」が発表されて本年で4年目を迎えます。この問題に対して水俣青年会議所は、3年前より様々な職種、年齢層の市民の方々に参加していただき、ワークショップを開催してまいりました。人口減少問題に危機感を感じてもらい、この問題を他人事とせず自分事として捉え、民間団体として取り組めることはないか議論し合うことで水俣の未来を考える契機となりました。この地域に住む我々が危機感と責任感をもち、一致団結してこの問題に取り組んでいかなければ、私たちがこの街で住み働き続けることも、子供たちが将来この地域で明るく豊かに住み働いていくことも、叶わなくなっていくと考えます。
 しかし、人口減少問題は簡単に答えが出て解決できる問題ではありません。そして、その解決策も一つではありません。明るい豊かな地域の未来を実現するために成すべきこと、それはやはり若い世代の人口を増やさなければ実現はできないと考えます。「仕事がないから若い世代がいなくなる」という声をよく聞きます。ですが私は「仕事がないから若者がいなくなる」という考えではなく、「若い世代がいなくなるから仕事がなくなっていく」のだと考えます。では、若い世代の人口を増やすためには何を成すべきなのか。それは、過去に囚われすぎず、未来へ向けて常に進化し続ける街づくり、志高き若い世代が住みよく働きやすい街づくりが必要であると考えます。
 さらに本年は、水俣市長選挙が2月に予定されています。そこで水俣青年会議所は政策本位による政治選択の機会となる公開討論会の開催を予定しています。水俣市民の方々に立候補予定者の政策や水俣市の未来に対する想いなどを知ってもらう貴重な機会です。自らの判断で市長を選択していくことが、地域の未来を考える契機ともなります。
 人口減少に歯止めをかけ、さらには人口を増やしていくという非常に困難なことかもしれませんが、我々一人ひとりが覚悟と責任感を強く抱き、その解決策を見いだしていくこと、それはもはや我々世代の使命と考え本年も継続して取り組んでいきます。

【LOMの未来を考える】

青年会議所は、20歳から入会でき40歳で卒業というシステムとなっています。卒業というリミットがある以上、当然、新しい会員が入会しなければ必然的に会員数は減少していきます。水俣青年会議所においては、本年で卒業を迎えるメンバーを多数抱えているなかで、このまま会員拡大が成功できなければLOMの未来はありません。また、入会年度が浅くブロック協議会や地区への出向、LOMの事業や例会にすら参画できず、JAYCEEメンバーとしての志をしっかりと立てられないまま覚悟と使命感を抱くことなく月日だけが過ぎているLOMメンバーが増えてきています。
 LOMメンバーの意識がそのような状態のなかで、ただ闇雲に拡大の活動を行っていくだけでは、会員拡大にはつながりません。会員拡大を成功させLOMの未来を切り拓いていくためには、まず、本年卒業を迎えるメンバーをはじめとした経験豊富なメンバーがしっかりと襟を正し、青年会議所という学び舎で得てきた気づきや志を、次代を担う経験年数のまだ浅いメンバーへ確実に伝承していきます。青年会議所が地域にあり続ける意義、役割をLOMメンバーがしっかりと理解し、JAYCEEメンバーとしての志を立て覚悟と使命感をもち、個々の意識を変革することが拡大へとつながり、LOMの未来を切り拓く第一歩だと考えます。そのためには、学びや気づきの場を提供していき、志をしっかりと立てた青年へと成長できる機会を本年は積極的に設けていきます。
 意識の高いメンバーが増えていくことは、活発な委員会活動へとつながっていきます。委員会が活発になることで、委員長など担いの多いメンバーの役割をメンバーが積極的に分担してくことができ、個々の負担軽減にもつながっていきます。個々の負担が軽減されると、出向などの機会をつくることができ、さらなる個々の成長へとつながっていくと考えます。個々が成長できればLOM全体が成長することができ、LOMを未来へと紡いでいくことができます。さらには、本年は一委員会一事業を基本とすることで、より充実した事業の構築へ取り組んでいきます。充実した事業を実施していくことは、地域の方々や会員候補者に対し、我々の覚悟と使命感をしっかりと伝える最大の機会となり、意識の高い会員の拡大へとつながっていくと考えます。
 我々が成長し続けなければ、アカデミーメンバーも成長していけない。アカデミーメンバーの成長なくして拡大は成功しない。LOMメンバー全員が成長を続け志が高くなることで次世代へとLOMを紡いでいけると考えます。

【結びに】

この街には人口減少や少子高齢化など様々な問題がある中で、必死に改善していこうと取り組んでいる人たちがいます。水俣の現状を変えようと努力している人たちがいます。しかし、一方でその人たちを揶揄し、他人や社会に問題の責任を転嫁し続けている人たちがいます。今、一番の問題は、それらの問題を自分事として受け止めない我々にあると考 えます。地域を変えていくためには、「まず、我々水俣青年会議所から変わり進化していく」青年会議所という団体に所属することで様々な出会いや多くの学び、気づきを得ることができる我々は、その経験から必ずや変わることができる存在であり、熱き志で英知と勇気と情熱をもって明るい豊かな社会の実現のために率先して活動していく。まだまだ揶揄されるかもしれない。だが、我々が確固たる覚悟と使命を持って行動していれば必ずその熱い想いは周りの理解を得ていき、周囲の意識を変革することに繋がり、やがては地域の進化へとつながっていくことができる。今、我々に必要なのは『進化』である。時代の流れとともに社会が変化し続けるなかで、現状維持や停滞し続けることは後退することと同じである。未来へ向かうためには目標という進路を定めて前を向かなければならない。勿論、ときには後ろを振り返り学ぶことも必要である。だが、未来を見据え意識を変革していき前を向いて進んでいく。それが次世代へと未来を紡いでいくことになる。

Evolution 私たちは進化し続ける次代へ紡ぐために